「星野リゾートが経営する星のや、リゾナーレなどとは違ったブランドで、世界自然遺産に登録された希少な自然環境化にある『星野リゾート　西表島ホテル』。世界遺産の自然を観光資源として楽しんでいただけるように『自然を守っていくこと』『お客様に継続して楽しんでいただけること』がバランスよく両立されています」

施設内には私有地にジャングルのフィールドがあり、お客様には西表島の自然について学んでいただける無料のツアーを提供しているそうです。

「なぜ世界自然遺産に登録されることになったのか、植物がどの様に関わり合って生息しているかなど、ただ通り過ぎるだけではわからないことも、説明を受けることで感動に変わるかもしれません」

「また、そんな大自然の広がるジャングルの反対側には月ケ浜の美しいビーチが広がっており、夕日を見ながらスパークリングワインを楽しむ“サンダウナー”はご好評いただいております」

沖縄の多くのリゾートホテルは目の前にビーチやプールを構えていますが、西表島ホテルは雄大なジャングルも兼ね備えており、そんな環境がこの島で暮らし働くスタッフにとって貴重な体験を生む環境となっているそうです。

離島にありながら多くの観光客が訪れる西表島ホテルの人材確保のことや、リゾートバイトスタッフに対する想い、望む人材像についても教えていただきました。

「日本全体を見渡しても特殊と言える環境が強みでもありますが、人材の面では逆に課題にもなっています。長くこのエリアに住んで働いていける人材は決して多いとは言えません。そういった面でも、この環境に興味を持って来てくれるスタッフさんは重宝させて頂いています」

取材時に西表島ホテルで働き始めて丸2年が経過しているグッドマンスタッフがおり、休日は様々なツアーに参加してジャングルを満喫するなど、西表島にどっぷりとハマっているそうです。西表島の環境を楽しむその姿勢は、まさに理想的な人材だと仰っていただけました。

西表島には2,000人を超える島民がいますが、島民だけで従業員全体を賄うことは難しいのが現状です。そういった面でも住み込みで働きに来るリゾートバイトの需要は高いと言えます。

「彼のように島が大好きなスタッフさんを増やすためにも、プライベートと仕事の両方が充実する様にサポートしていきたいです。こういった地域だからこそ働きたいという方がいると思うので、そういった方にこそ働いてもらえればお互い良い関係が築けると思います」

西表島の情報を知らない方が多くいる中で、西表島ホテルの取り組みなども含めて知ってもらうことも人材確保において重要だと言います。

「まずは島のことや西表島ホテルのことを知ってもらう事、私たち自身が正しい情報を発信していくことが、スタッフさんと良い関係が築ける第一歩になると思います」

星野リゾートという多くの人が知っているグループで働くこと自体をメリットと考える人もいる中で、実際にはどんな働き方をしているのでしょうか。

「宿泊業では一般的にフロントや客室清掃、レストランなど業務が分かれていますが、当ホテルでは一人が様々な業務に対応する形で働いています。」

一般的にはポジション毎にスペシャリストを育成しますが、星野リゾートではポジションで分けるのではなく、全てを一つのチームとして考えているそうです。

その為、1日の中で様々なポジションで働くマルチタスクという働き方を実践しており、豊富なスキルを持った人材育成を可能にしています。

様々な業務から経験やスキルを得られるというメリットの反面、覚えることが多くなることが懸念されますが、段階的な研修を実施することで無理なく覚えていけるとのことです。

「例えば、客室清掃は5日間40時間を研修時間として設け、トレーナーとトレーニングをしてから独り立ちをするという流れを取っています。また、言葉使いや身だしなみの点など、できるだけ不安なくスタートできるよう、事前に接客マナーを学ぶ時間を1日用意しています」

研修体制を始めとした働くスタッフのあらゆる環境整備に力を入れている西表島ホテルですが、スタッフの充実した生活がホテルにとっても重要だと言います。

「私たちが『自然を守っていくこと』と『自然を活用して観光を進行していくことを両立すること』で、西表島の観光はもちろん、ホテルの観光需要も持続的になると思います。そのためには、島のことをより知らなくてはならないし、発信していくだけの経験値を得ていかなければなりません。長くこの島を好きで働いているスタッフさんは、一人一人が発信者になれると思うので、ホテルにとっても一番の資産とも言えます」

自然との共存が観光業も支えることに繋がる西表島の環境では、島のことを発信できるスタッフが増えることがお客様の満足度にも繋がっていくとのことです。その観点から従業員の生活の基盤にもなる、従業員寮のリフォームも行うことにしたそうです。

「運営を前任者から星野リゾートが受け継いでからまだ数年ですが、ホテルが出来てからは20年が経過しており劣化が見られるところも少なくありません。寮についても同様で、長く働いてもらうためには、生活環境を整備していくことも重要ではないでしょうか」

最後にこれから西表島で働くことを検討している方々に向けてメッセージをいただきました。

「離島・僻地なので仕方がない面もありますが、やはり東京などの暮らしと比べると見劣りする部分もあると思います。それを感じさせないくらいの環境整備を目指して、プラスアルファで島の自然を楽しめるくらいの状態にできれば、長く住むことが自然な流れになるかもしれません。長く住めば島民との関わりも出てきますし、関わりが強くなれば働く人の楽しみ方も変わってくると思います。離島での暮らしに興味がある方はぜひお待ちしております」